1.日本語の「はい」は,英語の「Yes」と違う という話
昔,英語の授業で,「英語では“Yes,I can’t”という表現はあり得ません」 というような話を聞いたことがあります。
無謀にも,その理由を説明しよう,というのがこのコンテンツなのです。
次の例を見てください。
A君:「君,ロシア語は無理?」
Bさん:「はい。」
この場合,Bさんはロシア語ができるでしょうか?
「無理?」と聞かれて 「はい」と言っています から,「できない」と答えていることになりますね。
つまり,日本語の場合,「はい」という言葉には「できる」という意味は含まれていない ということがわかります。
日本語の「はい」と「いいえ」という言葉には,相手の質問が「正しい(または 事実)」か「間違っている」か という意味しかないんですね。
しかし,英語の「Yes」は違います。
「Yes」という言葉には「できる」という意味が含まれている んです。というか,「Yes」=「できる」なんです。
だから,「Yes,I can't」という表現を日本語に直すと,「できる,私 できない」という意味になるので,「どっちやねん!」となるわけです。
日本語の「はい」と「いいえ」は,コインで言えば「表」と「裏」,数学で言えば「プラス」と「マイナス」みたいなものです。
「裏の裏は表」になるのが日本語です。ちょっと難しい表現で言うと「相対的」なんですね。
質問に応じて「はい」や「いいえ」の意味が変化するからです。
だから,質問を知らなければ意味不明になります。
しかし,英語の場合,「No is No is No!」なんです。
「ダメと言ったら何回言おうがダメ!」なんです。英語の表現は「絶対的」なんですね。
相手の質問にかかわりなく,意味は変化しないんです。
では,どちらが良いのかな?
数学と相性がよさそうな考え方は日本語でしょう。マイナスのマイナスはプラスだから。だけど間違えやすいという欠点があります。
英語の考え方の場合は,一度でも「No!」と言ったら何回言おうが「No」なので,間違えない,というメリットがあります。
結局,慣れの問題ですね。
だから,今度,英語で「Yes」「No」という表現が出てきたら,「はい」「いいえ」と訳すのをやめて,「できる」「できない」と考えてみてください。
英語の意味がよくわかるようになると思います。
同様に,もともと英語で書かれている文書を訳されたものを読むときも,「はい」を「できる」,「いいえ」を「できない」と読み替えると意味がよくわかることがあります。
日本語だと,何かがひらめいた時,手をポンとたたいて 「そうだ!」と言いますね。
英語だと,「Yes!」と言いますが,「できる!」と言っているんですね。たぶん。
言語って面白いですね。